住宅診断のチェックポイント(断熱材の基礎知識と床下断熱材)

断熱材のチェックポイント

住宅購入やリフォーム前などに買主や施主が専門家に頼らず、自分自身で住宅診断(ホームインスペクション)をするときに、確認すべきチェックポイントを解説するシリーズです。今回は、断熱材のチェック方法について紹介します。

1.住宅の断熱材の基礎知識

断熱材とは、熱を移動したり伝わったりしづらくするもので、住宅においては建物外部と内部に気温差があっても内部がその影響を受けづらくするために設けられています。

例えば、断熱材がきちんと施工されている住宅では、夏の暑い日には室内を涼しく保ち、冬の寒い日には室内を暖かく保つ役割があります。これにより、冷暖房が効き易く、省エネルギー効果があります。断熱材が無い住宅、もしくは適切に施工されていない住宅に比べ、適切に施工されている住宅の方が快適に暮らすことができ、電気代も抑えられるというわけです。

断熱材の有無や状態は耐震性のリスクに関わるわけではありませんが、快適さや電気代の点で大事なものであることを理解し、住宅購入やリフォーム時になどの住宅診断ではきちんとチェックしておきましょう。

1-1.断熱材は建物を覆うように施工

住宅に施工される断熱材は、簡単に言えば建物全体をすっぽりと覆うように施工されているはずです(適切な施工である場合)。全体を覆っていない場合、断熱材が無い箇所で熱の移動・伝達が起こってしまい、効果が薄れてしまいます(状況次第では結露が起こりやすくなることもある)。

建物全体を覆う断熱材

上の図のオレンジ色の部分が断熱材ですが、建物の室内全体を覆うように設置されていることがわかりますね。ただ、屋根裏や床下において断熱材を設置する箇所はこの図と全く同じとは限りません。断熱工法によって異なるのですが、その詳細は以降で図解します。

1-2.既存の建物では床下と屋根裏の断熱材をチェックできる

中古住宅や完成済みの新築住宅においては、断熱材の全てをチェックできるわけではありません。それは、住宅診断(ホームインスペクション)の専門家(一級建築士など)が診断しても同じであり、住宅診断にも限界があるというわけです。

床下にある断熱材は床下点検口から床下を覗いたり、可能であれば潜っていったりすることで確認できます。屋根裏にある断熱材も点検口から覗いたり、可能であれば上へ進入したりすることで確認できます。

しかし、外壁内に設置されている断熱材は基本的には直接確認することはできません。既存の建物に対する住宅診断では、床下および屋根裏の断熱材に限ってチェックすることが前提となります。

1-3.住宅に使用される断熱材の種類

断熱材といってもその種類は様々ですが、それらすべてを理解して対応するのは困難でしょう。そこで、最近の住宅でよく使用されている断熱材の種類に絞って解説しますので覚えておき、建物チェックの際に役立てましょう。

・グラスウール(繊維系)

一戸建て住宅で最も多く利用されているのがグラスウールです。繊維質の断熱材で一般的には透明のビニールで包まれおり、グラスウール自体は黄色いものが多いですが、他の色のものもあります。本ページの冒頭にある写真は壁面に設置されたグラスウールの写真です(建築中ならば壁内を確認できる)。

このグラスウールは、外壁面や屋根裏、床下の全ての箇所で使用されていることが多いです。

・ポリスチレンフォーム(発泡系)

床下でよく使用されているのがポリスチレンフォームという断熱材です。施工が簡単なので最近の新築住宅ではよく見られます(築浅の中古住宅でも多い)。以下の写真の白いものがポリスチレンフォームです。

ポリスチレンフォーム

・硬質ウレタンフォーム(発泡系・吹付け断熱材)

もう1つよく見られる断熱材が吹付け断熱材と呼ばれるもので、現場で発泡して施工していきます。発泡された硬質ウレタンフォームがその場で膨張していくのですが、これにより隙間なく施工しやすいことがメリットです。ちなみに、先に挙げたグラスウールとポリスチレンフォームは製造された商品を現場へ持ち込んで人の手で設置していくものです。

但し、必要な厚みをきちんと確保できていないケースが少なくないため、厚みまできちんと確認しなければなりません。

吹付け断熱材

ここで挙げた3つ(グラスウール・ポリスチレンフォーム・硬質ウレタンフォーム)がよく見られるものですが、他にもセルロースファイバーやロックウールが使用されている住宅もあります。

また、ハウスメーカーでは断熱材が壁等の部材と一体となったもの(工場生産されたもの)を施工していくものもあります。

2.床下断熱材のチェックポイント

ここまでは断熱材の基礎知識を解説してきましたが、ここからはいよいよ具体的なチェックポイントの解説です。断熱材は施工ミスや不具合が非常に多いうえ、知らないうちに快適性や省エネルギー性の面で損していることがありますから、よく学んでおきましょう。

2-1.断熱材の有無

最初のチェックポイントは単純に、そもそも断熱材が設置されているかどうかの確認です。床下や屋根裏の点検口から覗いてみれば誰でも確認可能です。

新築住宅で断熱材が施工されていないなんてことがあれば、指摘して設置を要求してください。断熱材の設置は義務ではないものの、今どきの住宅で設置しないなどということは考えられません。きっと図面や仕様書には断熱材が記載されていることでしょう。

中古住宅でも断熱材は基本的に設置されているはずですが、古い建物では断熱材が無いこともあります。目安としては1980年頃から後に建築された住宅では設置していることが多く、それ以前の住宅では設置されていないことが多いです。

中古住宅を購入する際、断熱材が無いからといって売主に設置を要求することは難しいです。違反ではありませんし、現状有姿で売買するのが通例だからです。よって、断熱材が無い場合は快適性や省エネルギー性に問題を抱えている物件であることを認識したうえで購入するかどうか判断しましょう。

もちろん、購入後、リフォームによって断熱材を施工することも考えるとよいでしょう。しかし、床下や屋根裏に設置することは容易であっても、外壁内部に設置するのは大変です。内壁を撤去して施工することになり、工事規模が大きくなるからです。この点も購入判断の参考にするとよいでしょう。

2-2.断熱工法の確認(床下断熱と基礎断熱)

床下や屋根裏を覗いてみて断熱材があることを確認した後は、断熱工法を確認しましょう。床下は、床下断熱と基礎断熱という2つの方法のいずれかになっているはずです。

床下の断熱工法

上の図のように床の裏側で断熱する床下断熱と基礎の内側で断熱する基礎断熱があるのですが、多くの住宅で床下断熱が採用されています。この工法を把握しておかないと次の設置範囲のチェックが適切にできませんから理解しておきましょう。

2-3.断熱材の設置範囲

床下断熱である場合、床材の裏側(下側)の全範囲に設置されていることを確認しましょう。たとえば、和室や廊下には設置されていないとか、点検口の蓋の裏側には設置されていないといったことがあるので注意して確認すべきです。

ただ、全ての範囲に設置されているかどうか確認するには、床下へ潜って奥まで這って行く必要があるため、実際に確認するのは少々難しいです。慣れていない人が床下へ潜ると束や配管に影響(壊す・傷つける等)を与えたり、釘などで怪我したりする可能性があるので、あまりオススメできません。

範囲を奥まで確認するのであれば、第三者の専門家に住宅診断(ホームインスペクション)を依頼する方がよいです。

2-4.断熱材の隙間・剥がれ・落下

床下の断熱材をチェックするとき、断熱材と断熱材の間や断熱材とその他の部材の間に隙間がないか確認してください。隙間があれば、そこから熱が移動してしまうために断熱の効きが悪くなってしまいますし、状況次第では結露が生じやすくなることもあります。

また、断熱材が剥がれ落ちそうになっていたり、既に落下していたりしないかも確認してください。床下では、グルスウールやポリスチレンフォームといった断熱材が施工されることが多いですが、これらはきちんと設置していないとすぐに剥がれたり落ちたりしてしまいます。以下は落下した断熱材です。

落下した断熱材

中古住宅では年数が経過しているために、落下しているものを見かけることが多いですが、新築住宅でも完成した時点で既に落下したり剥がれたりしているケースがあります。

ただ、落下や剥がれ、隙間が見つかったとしてもそれほど神経質になる必要はありません。床下の断熱材の補修は簡単だからです。新築ならば施工会社に補修を求め、中古住宅ならば購入後にリフォーム業者へ補修依頼すればよいでしょう。コストもそれほどかかりません。

2-5.断熱材の劣化

断熱材が設置されていたとしても、その材料の劣化が激しい場合には断熱効果があまり期待できませんから交換を考えるべきです。断熱材は長持ちするものですが、漏水(設備配管等からの漏水や雨漏り)や以上に高い床下湿度によって劣化が進行し、明らかに黒ずんでいる場合があります。

見た目が綺麗でなければ、劣化している可能性がありますから、建築会社や住宅診断業者に相談するとよいでしょう。

以上、床下の断熱材についてチェックポイントなどを解説しましたが、次回は屋根裏と外壁内部の断熱材について解説します。

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