住宅診断のチェックポイント(建物外部の基礎)

基礎外部の住宅診断

住宅診断(ホームインスペクション)といえば、住宅の買主や売主、もしくはリフォームを検討している人などが建築士などの専門家に依頼して実施してもらうものです。もちろん、きちんと第三者の専門家に住宅診断を依頼すれば費用がかかりますが、その費用を抑えるために自分で建物をチェックしたいと考える人もいます。

日々、多くの建物の診断結果を見ている者としては、大事な住宅の建築に関わるところについて専門知識や経験がない人が自らチェックして、結果を判断するということをお奨めできませんが、どういったチェックポイントを専門家が調査しているか紹介することでセルフチェックに取り組もうという人をここでサポートしてみたいと思います。

1.基礎の重要性

建物も基礎、外壁、屋根、床、室内壁など確認すべき範囲が多岐にわたりますが、今回のコラムで取り上げるのは基礎です。専門家による住宅診断では、基礎のどういったポイントをチェックしているのか紹介します。

建物の基礎が、その上の土台や建物本体を支える重要な役割をしていることは説明されるまでもなく、皆さんがおわかりでしょう。基礎に劣化進行が早い場合、それは住宅の寿命が短くなっていることを意味するところもあります。

何事も基礎は大事なことですが、住宅においても基礎の重要性をよく認識したうえで以降のチェックポイントを理解し、セルフチェックしてみてください。

2.建物外部から見える基礎の住宅診断のチェックポイント

基礎の住宅診断では、庭など外から見える部分(建物外部の基礎)と床下へ潜って見える部分の2つにわけて考える必要があります。以降では、建物外部の基礎のチェックポイントを紹介しています。床下については次回のテーマとします。

基礎における建物外部からのチェックポイントについて項目を並べると以下の通りです。

  • ひび割れ(クラック)
  • モルタルの劣化・不具合
  • カビ・変色・染み
  • ジャンカ
  • 鉄筋の露出
  • 白華現象
  • 基礎パッキン及び水切りの状況
  • 換気口の状態
  • 蟻道

これだけを見てもわかりづらいですね。以降でもう少し詳しく説明しましょう。

2-1.ひび割れ(クラック)

基礎の診断項目で最初に挙げられるのは、ひび割れです。ひび割れはクラックとも言われています。建物の周囲をぐるっと歩いて周り、目視でひび割れの有無を確認していきます。

基礎ひび割れ

上の写真は目視で見つかった基礎のひび割れをクラックスケールというもので計測しているところですが、皆さんがセルフチェックする際はクラックスケールを購入しない限りは目視でひび割れの位置と箇所数を確認するまでしかできません。

ひび割れが酷い状況に感じられた場合は、できれば専門家の意見を求める方が無難でしょう。

参考として、巾0.3mm以上のひび割れがあれば注意を要するものだと考えてください。本来は、巾だけで判断できるものではありませんが、このサイズ以下のひび割れであれば他に大した症状がないことを前提にそれほど心配する必要性はありません。

基礎のひび割れは、表面に見える仕上げ材が割れているだけなのか、その下にあるコンクリートまで割れているのかによって判断は異なりますが、次の「モルタルの劣化・不具合」のなかで、もう少し詳しく触れます。

2-2.モルタルの劣化・不具合

建物外部から見た基礎は、実は多くの住宅においてコンクリートが見えているわけではありません。コンクリートの上に施工されている仕上げ材が見えており、この仕上げ材の多くはモルタルです。

水とセメントと砂を混ぜたものがモルタルであり、コンクリートとは成分が異なります。

  • モルタル = 水 + セメント + 砂
  • コンクリート = 水 + セメント + 砂 + 砂利

コンクリートはモルタルよりも強度が非常に高く、基礎はこのコンクリートと鉄筋によって構成されています。モルタルは強度の上ではなくてもよいものですが、基礎の表面を綺麗に仕上げやすいことと多少の保護的な役割があります。

つまり、モルタルそのものが劣化したり、不具合があったりしたとしても、補修対応の緊急性は低いと言えます。

モルタルの剥がれ、欠損、浮きといった症状が見られることがありますが、これがモルタルだけの問題であるならば、焦ることはないのです。ひび割れ(クラック)については既に取り上げましたが、このひび割れもモルタルだけであって、その下にあるコンクリートに問題なければ構造的には問題ないものなのです。

よって、ひび割れをチェックするときは、本来はモルタルだけではなく、コンクリートまで症状が出ていないかを確認する必要があるのですが、残念ながら見ることができません。

そこで、巾0.3mm未満の軽微なひび割れであれば、コンクリートに達することはないだろうと推定し、問題ないだろうと判断することが一般的です。これをヘアークラックと呼びます。

巾が大きなひび割れが見つかった場合、最も良い方法は床下へ潜って基礎の裏側(床下側)にひび割れがないか確認することです。これについては、次回の床下の基礎編で詳細を説明します。

話が少しそれましたが、モルタルの剥がれや欠損は目視で確認することができますが、浮きは見ただけでは気づきづらいため打診棒で軽くあてて音の変化をチェックすることで確認します。皆さんがセルフチェックするときは、金槌などを軽く当てて確認するとよいでしょう。

このときにモルタルを割ってしまうことのないように注意してください。

2-3.カビ・変色・染み

基礎の表面にカビや染みがないか、変色している箇所がないか目視で確認することも大事です。これらは、基本的には湿気・水分と関係していることですが、水はけの悪い敷地でいつもジメジメしているようなところではこういった症状が見られることがあります。

但し、湿気等の問題が感じられないにも関わらず、こういった症状が見られる際は、原因がわかりづらいことが多いです。外壁内部から水切りの内側へ進入していた水が出てきていた事例もありますが、そういった場合は雨漏りのことも考えなくてはなりません。

2-4.ジャンカ

ジャンカとは豆板とも呼ばれていますが、砂利が部分的に集中することで空隙が出来てしまったものです。このジャンカは、施工する際に、雨水が多く混ざるなどして水分量が多すぎたときやコンクリ打設時にバイブレーターで適切に締め固めをしていなかったときなどに起こる症状です(以下はジャンカの写真)。

じゃんか

新築当時に施工監理をきちんとしていなかった可能性が感じられる症状ですね。似たような症状にコールドジョイントというものがありますが、これも同じ理由で生じることがあります。

一部分にのみあるジャンカで、且つ深さが浅いものであればそれほど強度に影響を及ぼすものではないですから、それほど心配する必要はありません。ただし、きちんと補修しておく必要性はありますから、住宅診断で見つかった箇所は補修しておくとよいでしょう。

2-5.鉄筋の露出

基礎の表面から内部の鉄筋が見えていることがありますが、これは問題です。鉄筋が空気や水に触れることは錆の原因になってしまいます。鉄筋が錆びればコンクリートを痛めてしまいます。連鎖的に問題が大きくなっていくのです。

前にあげたジャンカやコールドジョイントが酷い住宅では、そういった箇所からわずかに鉄筋が見えてしまうケースもありますから注意が必要です。早急に補修が必要であることは言うまでもありません。

以下の写真で鉄筋が露出しているのがわかりますね。

鉄筋の露出

2-6.白華現象

基礎のチェックをしていると表面に白い物質が付着しているケースがあります。これを白華現象と呼びます(エフロレッセンスともいう)。

白華現象とは、コンクリートやモルタルに含まれているセメントにある水酸化カルシウムに水分が混ざり、これが表面に出てきたとき、水は蒸発してなくなりますが、そこに残った水酸化カルシウムが白くなっているものです。

目視で確認できるものですから、皆さんでも確認することは難しくないでしょう。

ただ、この白華現象が確認されたとしても焦る必要はありません。強度には影響がなく、あくまで見栄えが悪いという問題です。綺麗に清掃すればよいでしょう。

2-7.換気口

基礎には換気口というものがあり、そこから床下の空気を入れ替えています。基礎にある長方形の開口部(穴)に見覚えがありますよね。

最近の住宅では、換気口の代わりに基礎パッキン工法を採用していることが多いため、この換気口が見当たらなくても大丈夫です。パッキンがあるかどうかを目視確認すれば問題ありません。

換気口の周囲、特に角にはひび割れが生じやすいですが、軽微なものであればそれほど心配する必要はありません。基礎のひび割れでもっとも生じやすい箇所です。しかし、ひび割れが大きいようであれば、強度や雨水の浸水による悪影響が懸念されますから注意が必要です。

2-8.基礎パッキン・水切りの状況

基礎そのもののチェックポイントではないですが、ここで一緒に紹介しておきます。前述の換気口のところでも登場した基礎パッキンですが、換気口のない住宅である場合は基礎パッキン工法になっているかどうか確認してください。

パッキンの確認

基礎の近くでしゃがんで下から覗いてみるか、手鏡をあてて確認するとよいでしょう。パッキンの多くは黒いもので、建物の外周部の基礎の上(土台の下)に設置されています。ここから空気が床下へ流れるようになっているのです。

鏡でパッキンを確認

外壁がサイディングである場合、このパッキンの上あたりには水切りが設置されています。水切りはしゃがまなくてもすぐに目視できます。

水切りがないと土台などが雨水で濡れてしまう可能性があり、そうなれば土台の腐食・カビなどへと進展してしまうリスクがあります。

水切りがあるかどうか確認した上で、かつ水切りが部分的に凹んで基礎表面にくっ付いている箇所が無いかも確認してください。水切りが曲がったり凹んだりして基礎表面にくっついてしまうと換気に影響が出る可能性があるからです。

2-9.蟻道

蟻道とはシロアリの通り道です。これがあるとシロアリの被害に合っている可能性が考えられるので、チェックしておきたいポイントです。蟻道がなくても被害に合っている住宅はありますが。

蟻道

上は基礎に見つかった蟻道の写真です(このようにはっきりと確認できないことが多いです)。

ここまでに外部から見た基礎のチェックポイントをあげてきましたが、いかがでしょうか。実際の住宅診断では見つかった症状をどう判断するかが難しいことも多いですが、何か気になる症状が見つかった場合は、早めに専門家の住宅診断(ホームインスペクション)を依頼した方がよいでしょう。

床下側からの基礎のチェックについては、「住宅診断のチェックポイント(床下側の基礎)」をご覧ください。

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