
築年数と住宅ローン減税
中古住宅を購入した時に受けらえる住宅ローン減税等の減税措置がいくつかありますが、構造に応じて築年数の要件があります。
木造住宅であれば築20年以下であることです。この築年数を超えている場合であっても、新耐震基準を満たしており、それを証する書類(耐震基準適合証明書等)があれば住宅ローン減税等を受けられます。
新耐震基準に適合するかどうかは、耐震診断を行うことによって判定するのですが、残念ながら不適合と判定される物件は多いです。基準に満たない、つまり耐震性が不足するという結果なわけですから、購入する人も心配です。
耐震性は補強工事を行なうことで、高めることが可能です。不適合であった物件は、耐震補強工事(改修工事)を適切に行い基準に適合させることで、耐震性に関して安心できるうえに、住宅ローン減税等の対象とすることも可能です。
※耐震診断以外の方法もありますので、「耐震基準適合証明書の代わりに既存住宅瑕疵保険で住宅ローン減税」をご覧ください。
耐震改修工事の実施時期が問題だった
耐震性が低くとも、耐震改修工事で耐震性を高めればよいことはわかりました。しかし、以前の制度ではこの工事を購入前、つまり引渡しを受ける前に実施しなければなりませんでした。引渡し前までに工事をして再検査を行って、これに合格する必要があったのです。
それでは非常に使いづらい制度です。なぜならば、引渡し前ということはまだ買主に所有権が移っておりませんから、買主が減税というメリットを受けたいがために売主の承諾を得て工事しなければならないからです。売主が積極的に協力しないこともありますし、万一、買主が購入を中止した場合に工事費の負担をどうするのかという大きな問題がありました。
自分の家ではなく他人の家について工事するのは難しいものです。
税制改正で使いやすくなった耐震基準適合証明書
この使いづらいとされてきた制度が平成26年度の改正により、少し使いやすくなっています。
購入前に耐震基準に不適合であった住宅でも、購入前の段階で所定の手続きをとることによって、購入後(引渡し後)の耐震改修工事で適合すれば減税対象となるのです。
以下が、その流れの概要です。
- 耐震診断を実施
- 不適合と判定
- 売買契約を締結
- 売主から買主へ引き渡す
- 買主が耐震改修工事を実施
- 再検査(2度目の耐震診断)を実施
- 合格
- 適合証明書を発行
但し、耐震改修工事の規模が大きくなる場合は、費用負担が大きくなり減税効果では不足することもありますし、工事の難易度が高くてなかなか進まないということもあることは理解しておきましょう。
中古住宅の住宅診断と一緒に耐震診断を利用される方も増えましたが、築年数が該当する方の場合は検討されるとよいでしょう。
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