住宅診断レポート(新築一戸建ての購入前・木造)No1

住宅診断レポート(新築一戸建ての購入前・木造)No1

一級建築士による住宅診断の内容をご理解いただくため、実際の現場でチェックしている項目や指摘にあがった事例などをご紹介していきます。

今回取り上げる住宅は、新築の建売住宅で構造・工法は木造軸組工法です。この物件を購入される前に購入検討者の方からご依頼いただいものです。

住宅診断会社・ホームインスペクターの紹介

1.屋外の調査

ほとんどの住宅診断サービスは、建物の屋外から始まります。必ずしも屋外から開始しなければならないわけではないため、その場の状況に応じて臨機応変に対応しますが、今回の物件でも屋外から診断を始めています。

1-1.基礎(外部)の調査

基礎の診断は、屋外から行うものと床下から行うものがあります。屋外は、ひび割れの有無やジャンカなどが生じていないか目視確認し、さらに打診棒でモルタルの浮きが無いかも確認していきます。

この住宅では、屋外の基礎には全く指摘事項はありませんでした。基礎に関する評価は床下も見てから行う方がよいですね。

1-2.外壁の調査

基礎に続いて外壁の確認です。実際には1つの面については基礎も外壁も同時に見ていくことになります。例えば、南面の基礎と外壁などを見てから、次に西面の基礎と外壁を見るといった具合です。

この住宅の外壁はほとんどの範囲がモルタル仕上げで、一部がタイルになっていました。外壁の施工状態に問題はありませんでした。

1-3.屋根の調査

屋根の調査についてですが、住宅診断では屋根の上へあがって確認するわけではありません。庭や前の道路、そしてベランダから目視で確認できる範囲が対象となります。下方から見上げて確認するわけで、屋根を広範囲に細かく確認することはできません。屋根の診断は限られた範囲であることをよく理解しておきましょう。

この住宅は最近の建売住宅としては珍しく瓦葺でしたが、目視できた範囲では特に指摘事項はありません。軒裏も一緒に確認していきましたが、こちらも指摘事項はありません。

2.建物内部の調査

屋外の調査が終われば、次は建物内部を診断していきます。玄関、廊下から調査を始めてリビング、キッチン、洗面室、各居室へと順番に調査を進めていきます。

2-1.室内の調査

各居室などで床や壁の傾きが無いか計測したり、歪みが無いか確認したり、建具の取り付け状況や動作状況なども確認を進めていき、これらには問題はありませんでした。

しかし、ほとんどの部屋において内装仕上げの工事が雑であり、買主の立場としては多少ストレスを感じるものです。今回は購入前に住宅診断しているため、購入に際してはこれらを補修して頂くことを条件として話を進めていくことになります。

2-2.屋根裏の調査

今回の依頼者は屋根裏の内部へ担当者があがっていき、安全に移動できる範囲を調査するオプション(屋根裏の詳細調査)をご希望でした。点検口もあり、安全に進入可能であったためご希望通りにこのオプションサービスを実施しています。

屋根裏の状況

柱や梁などの構造部分、この構造部等を留めている金物の状態などを確認していき、問題は見つかりませんでした。また、断熱材の施工状態もよく必要な箇所に必要なものが丁寧に施工されています。

2-3.床下の調査

屋根裏が大事なポイントであるのはもちろんですが、同じく床下も大事なポイントです。依頼者は床下の詳細調査(オプション)もご希望でしたので、実施しています。

床下の状況

床下では土台などの構造木部や基礎の立上り(内側)とベース(底)部分を確認して、ひび割れなどの問題はなく良い状態です。断熱材の施工も概ね丁寧なものでした。

給排水管も確認していきますが、排水管の支持部分のぐらつきはなく、必要な勾配もきちんととれていることが確認できました。

ここまで大きな指摘もなく順調に来ていたのですが、床下で1点だけ注意を要する指摘が出ました。

断熱材の水濡れ

この写真で断熱材が濡れているのがわかるでしょうか?水濡れの痕が残っています。そして、大引きにはカビが見られますますので、補修が必要だと判断されました。

これを見ただけでは濡れた原因や濡れた時期まで判断することはできませんが、給排水管からの漏水はなく、雨が侵入する位置でもないことなどから、建築中に濡れた可能性が高いと考えられます。断熱材と土台が一緒に濡れたと思われる状況のため、搬入時の雨というわけでもなく清掃か何かで水をまいたときにかかった可能性があります。

原因は差だけではないですが、カビの除去は必須ですし、一度断熱材を撤去して床下地材の点検もする必要がよいと判断されました。

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