中古住宅の瑕疵担保責任と既存住宅売買かし保険の相違点

中古住宅の瑕疵担保責任と既存住宅売買かし保険の相違点

中古住宅を購入する過程で、不動産会社から「瑕疵担保責任」について説明を受けることになるはずです。また、取引を進めるなかで「瑕疵保険」という言葉を耳にすることもあります。これら2つは、見たような言葉であるために混同されがちですが、異なるものです。

この相違点を知らなかったために、また誤解していたために、中古住宅購入後に損してしまったという人がいるので、注意しましょう。2つも大事なキーワードですから、よく理解しておきましょう。

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1.中古住宅の瑕疵担保責任

2つの大事なキーワードを1つずつ説明していきます。まずは、瑕疵担保責任についてです。

1-1.瑕疵担保責任とは

瑕疵担保責任は「かしたんぽせきにん」と読みます。何らかの欠陥のことを瑕疵と言いますが、売買の対象となるものに瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任のことを瑕疵担保責任と言います。但し、買主が本来ならば気づくはずのことであれば、除外されます。

買主が一般的な注意をしていても気づかない瑕疵があった場合、売主は買主に対して責任を負うということですね。

1-2.中古住宅の瑕疵担保責任とは

次に、中古住宅の売買における瑕疵担保責任について説明しましょう。ちなみに、中古住宅に限らず新築でもこの責任はありますし、住宅に関わらず他の取引でもあるものですが、ここでは中古住宅の売買に関することを説明します。

民法では、買主が売主に瑕疵担保責任を追求することができる期間を、買主が瑕疵の存在を知ってから1年以内としています。しかし、買主が瑕疵に気づくタイミングが売買してから5年後や10年後であることもありますから、売主としてはこの責任からいつになれば開放されるのかわかりませんね。

このような状況下では、自宅を売るリスクが高すぎ、中古住宅が非常に流通しづらくなることでしょう。そこで、中古住宅の売買においては、以下のような条件が付けられています。

売主が不動産会社以外である場合

中古住宅の売主の多くは、一般個人です。それまでに住んでいたり、貸していたりした自宅を売却するケースです。こういった場合、売主の瑕疵担保責任を短期間に限定するか、もしくは免責としています。例えば、引渡しから3カ月と限定するといった条件です。

免責とは売主が瑕疵担保責任を負わないということです。

売主が不動産会社である場合

売主が不動産会社である場合は、前述のように期間を3カ月としたり、免責としたりすることは認められていません。引渡しから2年以上の期間とする必要があります。2年は最低期間ではありますが、どの取引でも2年としているようです。

1-3.瑕疵担保責任のまとめ

瑕疵担保責任は、売主が買主に対して対象物件の瑕疵に関する責任を負うものであり、対象となる瑕疵が期間内に見つかれば、補修等の対応をする義務を売主が負うものです。しかし、売主が破産・倒産していたり、経済的に対応困難な場合などもあり、必ずしも責任が履行されるとは限りません。

2.既存住宅売買かし保険

次に、既存住宅売買かし保険について説明します。

2-1.既存住宅売買かし保険とは

「1-3.瑕疵担保責任のまとめ」のところで説明したように、売主が責任を負っているにも関わらず、必ずしもその責任が履行されてないこともあるのは、買主にとってはリスクですね。本来ならば、売主に補修してもらうべき瑕疵(欠陥)が見つかったのに、対応してもらえなければ自分で費用負担するなどして対応しなけれなりません。

そこで、これを補うものとして「既存住宅売買かし保険」があるのです。この保険に加入した物件であれば、売主が破産・倒産等していたとしても、補修費用等が保険金として支払われるのです。

瑕疵担保責任の履行を助けるものと言えばよいでしょうか。

2-2.既存住宅売買かし保険のメリット

既存住宅売買かし保険に加入するには、現場検査・審査に合格しなければならず、全ての物件が加入できるわけではありません。また、検査料や保証料がかかることはデメリットになります。一方で以下のようなメリットもあるので、検討したいものです。

万一のときに保険金が支払われる

前述のように、売主が瑕疵担保責任を履行できないときには、保険金が支払われるため、補修に充てることができます。但し、加入した保険の対象に限られることは理解しておく必要はあります。

住宅ローン減税・その他減税

中古住宅の要件(築年数・構造等)によっては、この既存住宅売買かし保険に加入することで住宅ローン減税を受けることができる場合があります。ローン減税は、条件次第では100万円単位のメリットがあるため、ぜひ利用したい制度ですから、保険加入によるメリットだと言えますね。

3.瑕疵担保責任とかし保険を誤解して損すること

中古住宅で住宅ローン減税を受けるには、木造住宅や軽量鉄骨造なら築20年未満である必要があり、その他の構造なら築25年未満である必要があります。この年数を超える物件であるならば、既存住宅売買かし保険に加入することで取得できる保険付保証明書が必要です(他の方法もある)。

減税を受けたい買主が、このことを何となく知っていたものの瑕疵担保責任とかし保険の違いを理解しておらず、売買契約で売主の瑕疵担保責任が付いているから減税を受けられると誤解している人がいます。減税のために確定申告をする段階になってから、このことに気づいても後の祭りです。

引渡し前に保険に加入していないといけないからです。

不動産会社の担当者によっては、このことに詳しくない人もいるため、きちんと契約前後で説明を受けていないケースが相次いでいますから、中古住宅を買う人は自分自身で確認するよう注意しなければなりません。

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