パワービルダーの建売住宅を購入するなら住宅診断(ホームインスペクション)

パワービルダーの建売住宅を購入するなら住宅診断

パワービルダーと呼ばれる新築住宅の分譲業者が建築・販売している建売住宅を購入する人は、その売主の物件を購入すべきかどうか悩む人が多いです。ここでは、パワービルダーの販売する物件を購入するときに知っておきたいことをまとめていますので、ご覧ください。

住宅診断会社・ホームインスペクターの紹介

1.パワービルダーの建売を心配する人は多い

パワービルダーとは、新築一戸建て住宅を建築して分譲する会社のことで、建設業と不動産業を兼ねています。年間で数棟~数十棟を供給する会社もあれば、100棟以上の戸数を大量に供給している会社もあります。大量供給しているパワービルダーは分譲価格を抑えて低価格を実現していることが多いです。

低価格であろうとなかろうと、以前から建売住宅の施工品質に関して心配する購入者は非常に多かったのですが、低価格な物件である場合はさらに心配する人は多いです。

2.パワービルダーの建売物件を住宅診断してきた実績からの見解

心配する人が多いだけに、パワービルダーの建売物件を購入する人から住宅診断(ホームインスペクション)を希望されることは非常に多く、全国で住宅診断を提供するアネストには、毎日、多くの診断の依頼があります。その実績から、パワービルダーの建売物件の現状をお伝えします。

  1. 施工品質の悪い物件は少なくない
  2. 物件によって施工品質のばらつきが大きい
  3. この2~3年で施工品質は改善されてきた

現状として上の3点をあげましたが、これらを1つ1つ説明していきましょう。

2-1.施工品質の悪い物件は少なくない

毎日のようにパワービルダーの分譲する建売住宅に対して住宅診断に入っていますが、実際に施工品質の劣る物件は少なくありません。

ビスの抜けなどの軽微な指摘まで含めれば、ほとんどの物件において指摘事項があがっています。また、断熱材の施工不良などの中程度の指摘事項は3~5物件に1件程度の頻度で確認されています。施工品質の点においてパワービルダーの物件に対して心配を抱くのも無理はないでしょう。

2-2.物件によって施工品質のばらつきが大きい

「○○○○社(特定の会社名)の建てた物件ですが、住宅診断した方がよいでしょうか?」と質問を受けることも多いです。多くの物件を住宅診断してきた経験上、自信をもって言えることは、会社名で判断することが危険だということです。

同じ会社が分譲する建売住宅であっても、1つ1つの物件で施工品質にはばらつきがあります。これは、実はパワービルダーに限らず、大手ハウスメーカーの注文住宅でも同じことが言えます。

インターネットの口コミで評判の悪い会社だからと依頼する人も多いですが、現場で診断してみると軽微な指摘があるだけで大した問題が見つからないということもあります。逆に、悪い評判はなかったけれども、指摘事項が多数上がることもあります。

会社が同じでもばらつきがあるため、施工品質については会社で判断するのではなく、1つ1つの物件ごとに確認するしかないでしょう。

2-3.この2~3年で施工品質は改善されてきた

ただ不安を煽るような形になってもいけないので、良い現状についても説明しておきます。

現時点でアネストでは14年ほども住宅診断(ホームインスペクション)をし続けていますが、以前に比べれば低価格路線のパワービルダーの住宅は施工品質が改善されてきています。この2~3年とそれ以前とでは指摘事項の数は違ってきています。

第三者の住宅診断が多く利用されるようになり、多くの指摘事項が伝えられていくなかで現場が改善されてきているのではないでしょうか。まだまだ改善されるべき点は多いですが、今後の品質アップに期待したいですね。

3.パワービルダーの建売の施工品質が低い理由

ここまでにパワービルダーの建売住宅の施工品質の問題を述べてきましたが、なぜ施工品質の低い住宅が多いのか理由をあげておきます。これらの問題を解決しない限り、安心できる業界にはならないでしょう。

  1. 工事監理をしていない
  2. 下請け任せの現場
  3. 社内検査体制がない(または形骸化している)
  4. コスト削減と意識の低さが全ての原因

施工品質が悪い主な理由は上の通りです。これらについてもう少し詳しく説明していきます。

3-1.工事監理をしていない

施工品質が悪くなる最も大きな理由は、工事監理を全くしていないからです。工事監理とは、設計図書の通りに施工しているか、施工に問題がないかといったことを監理者が現場へ来て確認していく作業です。この業務を適切に行うことは、施工品質の確保につながります。

残念ながら、工事監理者とは名ばかりで現場へほとんど足を運ばないことが多く、なかには完成まで一度も現場へ来ないということもあります。大事な工事監理を放棄してしまって、施工品質を確保するのはあまりに難しいでしょう。

3-2.下請け任せの現場

建築工事の途中は、基本的に現場任せになっていることが非常に多いです。現場監督が巡回する形で現場へ行くことはよくありますが、この現場監督のしている業務は工程の進み具合を確認して下請け業者や孫請け業者の手配・段取りをする程度であることが圧倒的に多いです。

供給棟数の多いパワービルダーの現場監督が担当する現場数が多すぎるため、工事の品質面についてまでこの現場監督に多くを求めること自体に無理がありますが、その結果として下請け任せが当たり前のようになっている業界構造があります。

3-3.社内検査体制がない(または形骸化している)

パワービルダーの建売住宅には、驚くべきことに社内検査体制が整備されていません。もしくは体制があっても適切に運用されていないことが非常に多いです。

たとえば、建築工事の一部が未完成であるにも関わらず、購入者に対してその物件を引き渡してしまうことがあります。

社内検査は、会社によっては建築の途中で実施し、完成後にも実施します。完成後の検査は必須だというのが業界の一般的な認識です。しかし、一部が未完成なわけですから、当然に完成後の社内検査はしていません。その状況で引渡しを行っている会社が、HPやパンフレットなどで社内検査体制が充実しているなどと謳っていることもあるのです。

本来の完成後の検査の流れは、以下のようにすべきことです。

  1. 完成
  2. 施工者による検査
  3. 売主による検査
  4. 買主による検査

建売の場合、施工者と売主は兼ねていることが多いですが、下請け業者がいる場合は、下請け業者が上の2の検査を行うことになります。ただ、この通りに実施されていないことが多く、会社によっては、この流れを見ると「そこまでするはずがないだろう」と感じるかもしれません。

3-4.コスト削減と意識の低さが全ての原因

工事監理をしていないことや下請け任せになっていること、そして社内検査体制の問題の全てに共通して言えることは、行き過ぎたコスト削減と関わる人たちの意識の低さに問題があります。

コスト削減によって購入者は安く買えるという点ではメリットですが、それによって負うリスクが大きすぎます。行き過ぎたコスト削減と意識の低さを改善しない限り、根本的な解決は難しいでしょう。

4.施工品質の良し悪しは運任せという現実

新築住宅の住宅診断をしていると、施工品質の良い物件もあります。どの物件もダメだというわけではないので、そこは誤解しないようにしてほしいです。ただ、前述したように会社名でこれを判断することはできませんから、施工品質の良い物件にあたるのか、それとも悪い物件にあたってしまうのかは運任せになっています。

大きな金額を投資してまで購入する住宅なのに、運任せという悲しい現実があるのです。

5.パワービルダーの建売を購入するなら第三者の住宅診断(ホームインスペクション)

施工品質に関しては運に任せてあきらめるべきかといえば、そうでもありません。第三者の専門家にきちんと住宅診断(ホームインスペクション)してもらうことで、施工品質の良し悪しを確認することはできるからです。

これから建築する、もしくは建築途中の物件であるならば、建築中から完成まで何度か見てもらいましょう。着工から完成まで検査に入ってもらえるならば、それが一番安心です。完成物件を購入するのであれば、完成後の状態を診断してもらいましょう。完成後であれば見えない箇所があるものの、リスクを減らすことは可能です。

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