日本の住宅診断と海外のホームインスペクションの違い

日本の住宅診断(ホームインスペクション)の歴史は浅い

日本で住宅診断が普及し始めたのは2000年代に入ってからです。しかも、急激に普及し利用者が増えてからまだわずか5~6年です(2013年に執筆)。一方で欧米ではもっと古くから住宅診断が存在しておりました。ホームインスペクションやハウスインスペクションと呼ばれて、利用されてきています。

不動産業界の環境が原因で消費者は住宅診断(ホームインスペクション)を求める

たとえば、アメリカでは数万人ものホームインスペクターがおり、不動産取引の5~7割で住宅診断(ホームインスペクション・ハウスインスペクション)が利用されていると言われております(アメリカ国内でも地域差あり)。その他にも、イギリスやオーストラリアなどでも普及しており、住宅購入時には当然のように住宅診断(ホームインスペクション・ハウスインスペクション)を入れる慣習があります。

日本の住宅診断(ホームインスペクション)とは、歴史や実績の違いがあります。

しかし、欧米で行われている住宅診断(ホームインスペクション・ハウスインスペクション)の技術レベルは実は高くありません。設備関係のチェックが主になっていたり、そもそもインスペクションを実施する方の技術水準が低かったりと日本の住宅診断とは違い大きく、単純比較はできません。ただ、アメリカにおける新築住宅へのインスペクションは厳格なもので、日本で実施されている自治体やその委託機関による検査の曖昧さを感じます。

日本は地震大国であることから、消費者の構造面への注目度が高いです。また、日本人はモノやサービスへ求める品質レベルが高いこともあり、建物へ求める品質(特に新築住宅において)も高いものを自然と望んでいると言えるでしょう。日本で行われる住宅診断(ホームインスペクション)は、そういった国内事情・環境も影響して、構造に関することや細かな施工品質に関することまでしっかり診断しようとする傾向にあります。

その分、アメリカで行われている住宅診断(ホームインスペクション・ハウスインスペクション)に比べても費用が高くなりがちですが、これは診断範囲や国内事情を考慮すれば当然のことかもしれません。欧米のインスペクションを取り入れたのではなく、独自に進化・発展しているのが日本の住宅診断です。