住宅診断のチェックポイント(断熱材の基礎知識と床下断熱材)

住宅購入やリフォームを検討している物件に対して、自分自身で住宅診断(ホームインスペクション)をするときに確認すべきチェックポイントを解説するシリーズで、前回「住宅診断のチェックポイント(断熱材の基礎知識と床下断熱材)」は断熱材の基礎知識や床下断熱材のチェックポイントを解説しました。今回は、その続きで屋根裏と外壁内部の断熱材についてチェックポイント等を紹介します。

3.屋根裏断熱材のチェックポイント

屋根裏の断熱材について具体的なチェックポイントを紹介しますが、その前に屋根裏で使用される断熱材の種類について説明しておきます。

前回の記事で、グラスウール・ポリスチレンフォーム・硬質ウレタンフォームの3つの断熱材が住宅ではよく使われると書きました。ただ、このうちポリスチレンフォームや硬質ウレタンフォームはあまり屋根裏では見られず、グラスウールがダントツで多く使用されています。

3-1.断熱材の有無

屋根裏における断熱材のチェックポイントは床下の場合と基本的には同じです。まずは、断熱材があるかどうか確認するところから始めます。古い住宅では無いこともあるのは前回述べた通りです。

床下に断熱材があるものの、屋根裏にはないということや、その逆のケースも見られますが、基本的にはいずれかにあれば両方にあることが多いです。

3-2.断熱工法の確認(天井断熱と屋根断熱)

次に断熱工法の確認です。屋根裏の断熱工法には、天井断熱と屋根断熱の2種類があります。以下の図で見た方がわかりやすいですね。

屋根裏の断熱工法

天井断熱は最上階の天井の上に断熱材を敷き詰めるように設置しますが、屋根断熱は屋根材の下側に設置しています。これは屋根裏点検口から覗けば誰でも判断できるでしょう。以下は天井断熱の写真です。

天井断熱

3-3.断熱材の設置範囲

天井断熱の場合は天井材の上の全範囲に設置されていることを確認しましょう。なぜか屋根裏面積の半分程度や3分の1程度しか設置されていない住宅もありますが、見られないスペースであるために手を抜いた可能性があります。

天井断熱の場合は点検口から上方向を見て屋根材の下側に設置されているのですが、断熱材の上からボードを施工しているために目視確認できません。つまり、天井断熱のときは目視ですぐにわかるのですが、屋根断熱のときは資料等で確認しないと判断しづらいのです。

屋根裏の点検

3-4.断熱材の隙間・めくれ

前述のように屋根断熱の場合は基本的に目視確認できないため、断熱材の隙間については天井断熱のときにのみ確認することになります。隙間どころか非常に乱雑に設置されていることもあれば、めくれていることもありますし、逆に過剰に持ち込んであまった断熱材を重ねて放置しているケースもあります。

普段は見られないスペースでも丁寧に施工しているかどうかを確認するうえで、屋根裏の断熱材設置状況はよい参考になります。新築の建売住宅でもここを見ることで他の見られない箇所の施工がどうであったか参考にすることもできます。

3-5.断熱材の劣化

屋根裏では、雨漏りや結露が起こることがありますが、これにより断熱材が濡れてしまうと劣化が進行してしまうことがあります。著しく劣化した断熱材では、本来の断熱性能を期待できませんから交換を検討した方がよいでしょう。

ちなみに、隙間やめくれだけであれば、簡単に補修できますからそれほどコストもかからないです。

4.外壁断熱材のチェックポイント

次に外壁内部の断熱材についても説明しておきます。中古住宅や完成済の新築住宅では、外壁内部を目視確認することができませんが、ユニットバスの天井点検口から一部分のみを確認できる住宅もあります。

ユニットバスの点検口は誰でも簡単に開くことができます(蓋を手で押して横にずらせば開く)から、一度確認してみるとよいでしょう。点検口から顔を出して横方向(外壁側)を見ると断熱材を目視できることがあります。目視できることは良いことのようですが、本来ならばその個所を石膏ボードで覆っておく必要があるにも関わらず、その施工をしていないために目視できているということも多いですから、手放しで喜べることでもありません。

もし、断熱材を目視できた場合(あった場合)には、隙間が無いか、吹付け断熱材(硬質ウレタンフォーム)であるときには厚みが十分か、著しく劣化していないか確認してください。ただ、厚みは手が届かず確認できない可能性も高いです。

住宅診断のチェックポイントとして、断熱材を2回にわたって取り上げました。専門家による診断(ホームインスペクション)でも指摘にあがることが最も多い項目ですから、新築でも中古住宅でもきちんと見ておくようにしましょう。