住宅購入の問題点・買主のリスク

住宅診断が住宅購入の判断のために利用されるが、それは住宅購入の多額の費用がかかることと、買主と売主の利害が対立する立場であること、不動産業者も利害が反することが多いことが要因です。この点についての解説です。

住宅購入の判断のため

住宅診断(ホームインスペクション)の利用目的のところでも説明しておりますが、住宅購入の判断材料のために住宅診断(ホームインスペクション)が利用されることが非常に多いです。利用目的としては、これが最も多いでしょう。その理由として、住宅購入は投資する金額が大きいということと、建物・建築の専門性の高さを上げています。しかし、住宅購入時に利用される理由はそれだけではありません。

不動産業界の環境が原因で消費者は住宅診断を求める

住宅の買主から見れば、売主(個人でも不動産会社等の法人でも)や不動産仲介業者は利害が相反する立場になります。売主と利害が反する部分があるのは理解しやすいのですが、不動産仲介業者と利害が反する、または利害が一致しないのはなぜでしょうか。不動産仲介業者の目的は、その取引を成立させることにあります。「お客様のため」などと言ってみても、実際には取引が成立しないことには1円の売上にもなりませんので、「何とか契約させたい」というのが多くの場合の本音です。

そして、不動産は基本的には唯一の存在であるため、売主から嫌がれれるとその物件を扱いづらくなりますし、多くの物件を供給する不動産会社ともなれば、不動産仲介業者が売主の顔色ばかり窺っていることも非常に多いです。買主は自らが不動産仲介業者へ高い仲介手数料を支払っているにも関わらず、実はあまり味方になってもらえていないことが多いのです。

「契約を急かされている」と仰る相談者は非常に多いですが、このような業界環境が影響しています(他に理由はありますが)。

住宅診断(ホームインスペクション)を利用する方が増えている背景には、自分の見方を求めているという面もあるのではないでしょうか。そして、実際に建物の問題点があれば住宅診断(ホームインスペクション)で指摘し教えてもらうことができ、適切な購入判断に役立てることができます。買主に優しくない不動産・住宅業界の環境もあって、住宅購入のリスクを抑えるために買主が住宅診断(ホームインスペクション)を利用しているとも言えるでしょう。