不動産会社による住宅診断の利用ニーズの高さと日本の住宅の未来

不動産会社による住宅診断の利用ニーズの高さと日本の住宅の未来

住宅診断と不動産会社、不動産業界に関するコラムです。記事を書きながら考えたところもありますが、読んでみてください。

住宅診断会社・ホームインスペクターの紹介

不動産会社による住宅診断ニーズの高まり

住宅診断(ホームインスペクション)のススメを運営するアネストでは、2003年から一般消費者の皆様のご依頼に基づいて住宅診断(ホームインスペクション)を実施してきました。主に、住宅を購入するときの参考材料としていただいたり、新築住宅の施工不具合の補修を売主や建築会社へ求めたりするためにご利用頂いています。

3~4年前までは、問い合わせされる人は一般消費者の方ばかりだったのですが、最近では不動産会社からも多くの問合せが寄せられるようになりました。

  • 買主(一般個人)が希望しているので代わりに問い合わせしている
  • 自社の売り物件の住宅診断をしてお墨付きにしたい(販売PRのため)
  • 購入する物件の住宅診断をしてリスクを抑制したい

不動産会社からのお問合せは、上記のようなパターンに分けられます。

これらのお問合せに対して、アネストでは対応方法が決まっています。まず、「1.買主(一般個人)が希望しているので代わりに問い合わせしている」については、最終的には必ず住宅診断を希望している買主ご本人とお話させて頂き、ご利用の意思確認を取らせていただきます。依頼者は買主である個人の方です。

次に、「2.自社の売り物件の住宅診断をしてお墨付きにしたい(販売PRのため)」というお問合せですが、こちらはお断りしております。そして、最後の「3.購入する物件の住宅診断をしてリスクを抑制したい」についてもお断りしています。

上記2と3をアネストが断る理由は、単純に自社サービスを一般個人の方向け住宅診断サービスと位置づけているからです。アネストでは、不動産会社と関係を持たないようにしているためです。これがご利用いただく一般個人のお客様にとって第三者性という点で安心感をお持ち頂けることにつながると考えています。決して、不動産会社を嫌っているからとか、全ての不動産会社が悪い業者だなどと考えているわけではありません。

今回のコラムの本題はここからです。

不動産会社の多くは住宅診断を避けていた

不動産会社による住宅診断(ホームインスペクション)の利用ニーズの高まりについては、少し興味深く感じています。アネストが住宅診断(ホームインスペクション)をはじめてからしばらくの間は、不動産会社からは敵対する存在のように見られることも多く、住宅購入者が利用しようとしても「診断しても無駄だ。意味が無い」などと説明していた業者が本当に多かったものです。

今では、住宅診断(ホームインスペクション)を利用すること自体は、もはや当たり前のようになってきており、国土交通省は住宅診断(ホームインスペクション)の普及を促進しています。この流れについてこられない不動産業者が淘汰されるのはもうわかっているといってもいいでしょう。

不動産会社による住宅診断の活用が始まる

不動産会社による住宅診断の活用が始まる

そうなりますと、今度は、住宅の販売促進に利用しようと考えて、販売前に不動産会社が住宅診断(ホームインスペクション)を利用して、その診断結果をもって買主に対してアピールしようとしている状況です。不動産業界もこの数年で大きく変化し、住宅診断(ホームインスペクション)との関わり方が変わってきています。

さらには、不動産会社が購入する住宅に対して購入前に住宅診断(ホームインスペクション)を利用しようとする業者まで増えつつあります。中古住宅を下取りする前に、「大きな欠陥などがないか調べてから購入判断したい」と問い合わせしてくるのです。

本当に変わったものです。こう思うことと同時に、「なんと身勝手な業界かな」と感じるところもあります。数年前までは一般消費者が利用することに否定的であったり、妨害したりしていた業界なのに、変わるものですね。

しかし、裏を返せば、少し前までは不動産会社の建物への意識が低かったのに、最近は建物への意識が高まってきたのだということであり、非常によいことであるのは間違いありません。このことは、日本の住宅の未来にとってよいことであるのは、間違いないでしょう。

今まで、不動産会社は建物への意識があまりに低すぎました。施工品質に対して真剣に向き合ってきた建売業者はどれぐらいいたでしょうか。仲介する住宅の建物の品質を真剣に考えていた不動産仲介業者がいたでしょうか。そして、中古住宅を下取り再販する不動産会社のなかで、建物の抱える問題(欠陥や大きな劣化)を真剣に考える業者がどれだけいたでしょうか。

こういった意識が、今、確実に変わろうとしているところですから、10年、20年後には、消費者に届けられる住宅の施工品質や建物の状態も格段によくなっている可能性があります。売り手が建物に目覚めたのは本当に大きなことですね。

不動産会社に建築知識はない

ところで、不動産会社が自ら住宅診断(ホームインスペクション)を利用すると聞いて驚く人もいるかもしれません。不動産のプロが住宅を購入するのに、なぜ診断が必要なのかと。

不動産会社のなかには、建築のプロがいないということは非常に多いです。主に不動産仲介業務をしている会社であれば、建築のプロがいることはほぼありません。建売住宅の分譲が主体の会社でも、社内に建物を診断できる人がいないことは多いです。

建築は外部へ依頼し、営業に専念する不動産会社が多いからです。

不動産会社に建築の知識を求めても無理なことは多いということです。それだけに、これまで建物への意識が低かったのかもしれません。今後は、建築士や建築従事者の地位向上にもつながるかもしれませんね。


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