建売住宅・中古住宅を購入するときの仲介手数料

建売住宅・中古住宅を購入するときの仲介手数料

住宅購入に際しては、いろいろな諸費用がかかるものですが、その費用は売買価格の3~8%程度にもなりますから、その負担を住宅購入計画の予算にきちんと入れておかないと大変なことになります。その諸費用には不動産業者に支払う仲介手数料というものがあり、この金額は諸費用のなかで占める割が高いだけに住宅購入者にとっては大変重要なものです。

買主にとっては高額な仲介手数料ですが、これが必要なときと必要ないときがあり、その金額も取引によって相違があるので、よく理解しておかなければ損してしまうこともあります。ここでは、建売住宅や中古住宅を購入するときに買主が支払う仲介手数料の基礎知識や金額、そして注意点を解説するので、売買契約を締結する前に読んでおきましょう。

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1.不動産を売買するときの仲介手数料とは?

住宅の売買に関わらず不動産を売買するときに仲介した不動産業者から請求されるのが、仲介手数料です。実は、賃貸住宅の仲介に際しても請求されることがあるものですから、多くの人がこれまでの人生のなかで不動産業者へこの費用を支払っていることでしょう。

1-1.仲介手数料の基礎知識

買主が支払う仲介手数料とは、不動産を紹介してもらい、相手と交渉などをしてもらった結果、契約を締結するまでの業務(仲介)に対する報酬です。売主にとっては、所有する物件を売却してもらう業務(仲介)の手数料です。

仲介手数料は成功報酬ですから、契約が成立しなければ発生しません。これが原因の1つとなって、一部で悪質な不動産業者による被害や対応のまずさにつながっているのですが、この件は後述します。

仲介手数料の計算式

1-2.仲介手数料の計算方法

仲介手数料は不動産業者が自由に設定できるわけではなく、宅地建物取引業法によって上限が規程されています。不動産売買における仲介手数料の上限額は以下のようになっています。

  • 売買価格が200万円以下の部分は、売買価格×5%
  • 売買価格が200万円超・400万円以下の部分は、売買価格×4%
  • 売買価格が400万円超の部分は、売買価格×3%

ちなみに、別途消費税がかかります。

田舎の物件では安いものもありますが、多くの住宅の売買価格は400万円超ですね。この場合は、以下の計算式で簡単に仲介手数料を計算することができます。

  • 仲介手数料=売買価格×3%+6万円

この計算式の意味が分からない方のために事例をもとに計算してみましょう。

売買価格が2,000万円の物件を購入して仲介手数料を支払う場合、

  • 200万円以下の部分は、200万円×5%ですから、10万円です。
  • 200万円超・400万円以下の部分は、200万円×4%ですから、8万円です。
  • 400万円超の部分は、1,600万円×3%ですから、48万円です。

これらを合計すると66万円(税別)となります。

同じ価格のものを「仲介手数料=売買価格×3%+6万円」の計算式にあてはめてみると以下のようになります。

  • 2,000万円×3%+6万円=66万円(税別)

同じ金額ですね。購入しようとする物件があれば、その売買価格にこの計算式を入れてみるとよいでしょう。

1-3.仲介手数料が不要の方がお得

前述のとおり仲介手数料はなかなか高いですね。売買価格が2,000万円で仲介手数料は上限で66万円も支払うのです。当然ながら、この手数料を支払う必要のない物件があれば、諸費用を安く抑えられるので買主にとってはとてもお得だということになります。

仲介手数料は必ずしも生じる費用というわけではないですから、この件については次に説明しましょう。

2.建売住宅や中古住宅の購入には仲介手数料が必要なことが多い

前述のように仲介手数料はどのような取引でも必ず生じるわけではありません。手数料が生じない取引がどういうものか紹介していきます。

仲介手数料が無料

2-1.売主直売の建売なら仲介手数料が不要

新築の建売住宅では、その物件の売主が他社に販売を依頼せず自社で販売していることもありますが、その売主から直接購入するときには、仲介手数料は生じません。建売でも不動産業者が仲介している物件としていない物件があることを覚えておきましょう。

全く同じ物件でも、売主が直接販売しているのに、他社が仲介していることもあるので(少ないが)、複数の業者が同じ物件を広告しているのを見たときには売主直売のものがないか一応はチェックしておいた方がよいです。

広告のなかに、取引態様が「仲介」「媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」「一般媒介」と記載されているときは、仲介ですから、基本的には仲介手数料がかかると考えてよいでしょう。

2-2.中古住宅でも売主が直売なら仲介手数料が不要

中古住宅でも新築の建売住宅と同様に仲介手数料が不要なケースがあります。それは、不動産業者が売主になっている物件で、且つその売主から直接に購入する場合です。

中古住宅の多くは、売主が一般個人の人なので自力で売却することが難しく、不動産業者が仲介しているものです。しかし、不動産業者が買い取ったり競売で入手したりした物件を再販するときには、売主が不動産業者になっているので、仲介手数料が不要のケースもあるのです。

これも、広告で取引態様の欄を見れば確認できます。

2-3.仲介でも手数料不要のケースもある

実は、不動産業者が仲介している物件でも買主が仲介手数料を負担しないでよいことがあります。こういった取引は多くはありませんが、実際に存在しています。

たとえば、不動産業者が売主からもらう仲介手数料だけを目的として、買主には請求しないというケースです。不動産業者間の営業競争も激化していますから、顧客獲得のPR材料として仲介手数料を無料化しているケースがあるのです。

多くの不動産業者は売主から仲介手数料をもらえる場合でも、買主からももらうことで収益をあげようとします(上げるというよりも当然のことだと考えています)。しかし、顧客獲得競争のために買主側の手数料を無くすという会社もあるので同じ物件を購入するのであれば、選択肢に考えてもよいでしょう。

3.仲介手数料の注意点

建売住宅や中古住宅を購入するときに支払う仲介手数料に関して、注意点をあげておきます。安ければよいというわけではないので、ここを読んでから判断した方がよいでしょう。

3-1.3%+6万円は上限。安くてもよい

仲介手数料の計算式は前述の通りです。その計算式はあくまでも上限金額であることも述べた通りですが、多くの不動産業者は当然のように上限金額を請求しています。本当に当然だと思っている業界人も多いので、その金額が上限であることを説明していないことも多いです。

買主としては(売主でもそうですが)、3%+6万円という仲介手数料が上限金額であって、本当はもっと安くてもよいことを理解しておきましょう。実際に、手数料について交渉した結果、値切りに成功できるケースもあります。

不動産業者が自ら手数料無料を謳うケースがあることは述べた通りですが、ホームページを見ると仲介手数料割引をPRしている会社もあります。本当は、法律では上限を決めているだけなので、上限から見て割引という表現も微妙なところですが、安いのは嬉しいことですね。

3-2.同じ物件でも仲介手数料が安い業者から買った方が得

仲介手数料は上限ではなく、もっと安い業者もあることがわかれば、買主としては手数料の安い業者から買った方が得だということもわかりますね。同じ物件の広告を見たときは、最初に見た広告の業者にすぐに問合わせず、他の業者の広告にも出ていないかチェックするとよいでしょう。

3-3.仲介手数料0円の売主直売物件のみを狙うと対象物件の選択肢が少ない

仲介手数料を安く抑えたいからといって陥りがちなミスが、物件の選択肢を狭めてしまうというものです。

売主直売の仲介手数料0円の物件ばかりを狙っていても、なかなか希望の物件が見つからないことが少なくありません。何故ならば、自社で販売せずに他社に売却を任せる(仲介してもらう)売主が多いからです。物件の供給(企画・開発・建築)に注力して、販売活動は不動産仲介業者に任せると割り切っている売主は多いので、買主としては幅広く検討した方が希望の物件を見つけやすいのです。

成功報酬

3-4.成功報酬だから不動産業者によっては買主が被害にあう

住宅購入時に支払う仲介手数料は成功報酬です。契約が成立しなければ、支払う必要がないのは売主にとっても買主にとってもメリットですが、仲介する不動産業者にとっては会社の経営を大きく左右する大事なポイントです。

また、営業マンの多くは歩合制で働いているため、売れなければ(契約しなければ)給与が非常に少ないので、生活がかかっています。

仲介とは、不動産会社や営業マンにとって契約をとれるかどうかが、死活問題ということです。それだけに、強引な営業が目立ったり、契約後や引渡し後には対応が悪化したりして、契約後の買主からは「そんな人ではなかったのに」と営業マンのことを評することが多くなりがちです。

強引な営業のほうかに、多少のウソ(または説明不足)による被害にあう人も多いです。仲介手数料だけが原因ではなく、営業マンの勉強不足や意識不足によるところも大きいのですが、いずれにしても買主は注意して取引に対応しなければなりません。

このサイト(住宅診断のススメ)のテーマは、住宅診断(ホームインスペクション)ですが、このテーマとの関係でいえば、買主が住宅診断を利用することで欠陥や著しい劣化などが見つかれば、買ってもらえなくなることから、不動産業者のなかには住宅診断の利用をあきらめるように誘導しようとするものも少なくありません。

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